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日本特許における共同発明に関する判決−審判実務者研究会報告書2017

A&JPatent 2019.03.17 22:10 閲覧: 2,567

I.事件:

無効2011−800266(特許第3690864号)(平成25年7月3日:請求成立審決 → 知財高裁にて審決取消)

II.ポイント:

1)共同出願要件の判断の前提としての、技術指導に関する契約の解釈

2)共同発明者の認定、および発明者であると主張する場合の立証責任

III.事件の概要

1)審決と判決の概要

発明の名称を「光触媒体の製造法」とする冒認出願(権利のない者が出願したという意味)および共同権利者違反を理由として、無効審判が請求された。審決では共同発明者が欠けているとして無効とされたが、判決ではこの審決が取り消された。結論として、共同出願違反ではなく、無効ではない。

「技術指導関連発明の取扱いに関する確認書」という契約書が存在し、その契約書の第1条:所定の「技術指導関連発明」に該当するという前提のもとで、出願人である2社が、第2条の「…独自に行った技術指導関連発明に関する特許出願を行おうとするときは、当該発明を独自に行ったことについて事前に知事(佐賀県)の同意を得るものとする。」という規定があり、

審判庁も裁判所も、いずれも第1条には該当しないとし、第2条に違反したことを認めた。

これに対し審決は共同出願違反と判断したが、裁判所では、しかし、第2条に違反したからといって佐賀県が特許を受ける権利を取得するわけではない、として審決を取り消した。

2)検討事項:共同発明においては、一方の意見が既に公知技術であるという確認を受けておく必要もありそうである。共同発明の場合には、契約書などの作成により一層の注意を払わなければならない。

また、この契約書の第2条のように解釈が難しい場合、すなわち、具体的に何について同意を得るのか? 出願か? このように契約書の規定について異なる意見が提示され得る条項があってはならず、すべての条項の解釈が明白でなければならない。

一方で、共同出願違反すなわち冒認出願を理由として無効審判が提起された場合、立証責任は特許権者にあるという結論が出された。

3)参考までに、発明者となるためには「課題を解決するための着想およびその具体化の過程において、発明の特徴的部分の完成に創作的に寄与した者」であり、「発明の特徴的部分とは、特許請求の範囲に記載された発明の構成のうち、従来技術に見られない部分」すなわち当該発明特有の課題解決手段の基礎となる(寄与した)部分をいう。(知財高裁平成19年(行ケ)第10278号)

この点に関して、化学分野では(知財高裁平成18年(ネ)第10020号)も参考になる。

すなわち、発明には、解決課題の提示、解決手段の提示、課題解決の確認という3要素があり、このうち一般的には解決手段の提示が最も重要と考えられるが、化学分野では課題解決の確認が重要であるとした事例である。

4)参考までに、少数説(2段階論)として、発明の成立過程を着想の提供と着想の具体化とに分け、着想は新しいか? 具体化は自明な程度か? などで判断する説もあるが、本件ではいずれの説を採るとしても、Cが共同発明者でないことは明確であった。

いずれにせよ発明者の特定は容易なことではなく、職務発明制度により企業の従業員に補償を行ったとしても、審査の過程でその者が発明者から除外されるべき場合も生じ得るし、新たな者が追加される場合もあろう。容易でない問題であり、特許制度の古くからの課題となっている。

5)日本の特許に関する内容ではあるが、韓国の特許制度と変わるところのない内容であるため、韓国の制度においても参考になる。

6)検討時の参考判例−内容は追って整理する。

最判平成13年6月12日(平成9年(オ)第1918号)(「生ゴミ処理装置」事件)

大阪地判平成22年11月18日(平成21年(ワ)第297号)(「コンクリート脱塩用装置」事件)

知財高判平成18年7月19日(平成18年(ネ)第10020号)(「洗浄処理剤」事件)

知財高判平成25年3月28日(平成24年(行ケ)第1028044号)(「動態管理システム」事件)

東京地判平成26年12月25日(平成25年(ワ)第10151号)(「カラーアクティブマトリックス型液晶表示装置」事件)

知財高判平成29年1月25日(平成27年(行ケ)第1023045号)(「噴出ノズル管の製造方法」事件)

知財高判平成20年5月29日(平成19年(ネ)第10037号)(損害賠償請求控訴事件)

東京地判平成18年1月26日(平成14年(ワ)第8496号)(特許出願権譲渡対価請求事件)

執筆者 日本弁理士 鄭元基

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