【日本】 日本IP情報 (by 日本弁理士 鄭元基)
AIDA & JUNG
PATENTS, TRADEMARKS and DESIGNS
The only Japanese patent office managed by a Korean
日本IP情報 (by 日本弁理士 鄭元基)
I. 論点別特許判例: 新規事項の追加
- 原則 : 新たな技術的事項の導入の有無が基準であり、明示的記載+自明な事項
(ソルダーレジスト事件、知財高裁大合議部、平成20年5月20日判決 ) - 参考判例1 : [高断熱・高気密住宅における..暖房システム] 平成21年(行ケ)第10175号
請求項 : [高断熱・高気密住宅]
補正請求項 : [熱損失係数が1.0-1.5kcal/m2.h.℃の高断熱・高気密住宅]
結論 : 新規事項の追加ではない。
着眼ポイント
- 知財高裁で逆転、飯村判事
- 審査基準との乖離―明細書に記載がなかった。
- 請求項の前提部に対する補正
- 新たな論理: 付加された事項が発明の課題解決に寄与する技術的意義を有する事項に該当するか否か、すなわち本件の場合、補正前と同様に本発明の解決課題・解決手段に関する技術的事項を含むとはいえない、という論理
- 参考判例2:[携帯電話端末] 平成21年(行ケ)10303号
請求項 : 複数の機能は動作可能とした。
補正請求項 : 時計機能、アドレス帳機能、マイクによる音声を電気信号に変換する機能、スピーカーによる電気信号を音声に変換する機能を含む複数の機能はそのまま動作可能とした。
結論 : 新規事項の追加ではない。
着眼ポイント
- 拒絶不服審判請求後の補正の補正却下、知財高裁で逆転、飯村判事
- 「マイク」と「スピーカー」は当初明細書に記載がなかった。下位概念を追加した。
- 審査基準の[長方形ワーク]類型に該当するか
- 進歩性の拒絶理由の解消という観点から新規事項とみなさなかったのではないか?
- 参考判例3 : [コーティング装置] 判例 ― 日本の審査基準に掲載された。[長方形ワーク]類型 明細書では本発明のコーティング装置の塗布対象がガラス基板、ウエハー等の[ワーク]であると明示
明細書上の例示 : ほぼ正方形のワークのみ But, 長方形は代表的なガラス基板の代表的な形状であるため[長方形ワーク]への補正OK!
II. 最新商標判例
- アジル[アジル]事件(15.2.27東京地裁判決) - 不使用商品の顧客吸引力
- 登録商標: アジルとAgileの上下併記商標、指定商品: 被服、履物等、対象商標: agile、使用商品: 履物
- 争点 : 類否ではなく、損害賠償の算定方式
- 結論 : 1062万円(約1億)の損害賠償を請求、57万円(約500万ウォン)の損害賠償を認めた。
- 事実・相互主張 : 登録商標の指定商品である履物については不使用取消された。したがって被告は履物については顧客吸引力がないと主張。
-
判断
原告の商標が被服について使用されている以上、履物にもある程度の顧客吸引力があり、被告の履物の販売にある程度寄与している。使用料率の決定
帝国データバンク(私企業)が調査した被服・履物に関する商標7件の使用料率は最大7.5%、最小値0.5%であったが、原告の使用料率を最小値より低い0.3%と定めた。
原告の履物売上である1億9327万円程度の0.3%である約58万円を損害賠償額と定めた。
訴訟費用も1/20は被告が、19/20は原告が負担するようにした。
- 所感
実際には原告敗訴、しかし、不使用取消された商品にまで顧客吸引力が残っていると判断した点では意味のある判決だと思われ、被告は自らの顧客吸引力のみで営業が行われたことを証明しなければならない。
- インディアンモーターサイクル事件(15.3.27.東京地裁判決) - 権利濫用
- 原告商標

- 被告商標

- 経緯 : 原告の商標は元々、米国のharley-davidsonのブランドと同様のオートバイ有名ブランドに由来するもので、1953年操業中断、1959年解散の後、種々の経緯を経て日本商標として復活したもの
-
判断
米国の周知商標が消滅した後、米国のインディアン社と無関係な原告・被告が関連する商標を取得することは自由競争の範囲内の行為に該当する。したがって原告が米国周知商標を自己の商標として登録することは問題ないので、その権利行使も正当なものである。
しかし、少なくとも被告に対しては権利濫用に該当すると判断した。原告が出願した1994年は被告が新たなインディアン社から事業を譲り受けて事業展開を行っており、この事実がオートバイ愛好家やアメリカンカジュアルファッションに関心のある需要者・取引者の間で相当程度周知されており、原告が被告のこの一連の行為を知らなかったはずがないというのが権利濫用判断の根拠。
本件商標出願は新たなインディアン社及び被告の事業展開に便乗し、被告による事業展開を妨害する目的で行われ、原告の権利行使は少なくとも被告に対しては公正な競争秩序を乱すもので、もはや自由競争の範囲とはいえない権利濫用に該当する。
-
所感
米国の周知商標が消滅した後、米国のインディアン社と無関係な原告・被告が関連する商標を取得することは自由競争の範囲内の行為に該当する。したがって原告が米国周知商標を自己の商標として登録することは問題ないので、その権利行使も正当なものである。
しかし、少なくとも被告に対しては権利濫用に該当すると判断した。原告が出願した1994年は被告が新たなインディアン社から事業を譲り受けて事業展開を行っており、この事実がオートバイ愛好家やアメリカンカジュアルファッションに関心のある需要者・取引者の間で相当程度周知されており、原告が被告のこの一連の行為を知らなかったはずがないというのが権利濫用判断の根拠。
先使用権の要件には該当しないが権利濫用と判断。
公序良俗違反の無効事由に該当するか: 被告に対してのみ権利行使の制限を受けるという点で公序良俗よりも狭い意味で解釈される。
- 原告商標